TMG法律事務所の伊藤です。
今回は、前回に引き続き、リース物件の引き揚げを回避する方法を解説します。
事業を継続するうえでリース物件が必要不可欠といえる場合には、リース業者と協議して「弁済協定」という合意を締結します。これにより、個人再生手続きとは別に支払いを継続し、引き揚げを回避することが可能となります(共益債権化といいます。)。
もっとも、事業継続に必要不可欠ではないにもかかわらず弁済協定を締結して支払いを継続することは、再生計画不認可事由に該当します(民再法85条1項)。そして、事業継続に不可欠かどうかの判断はかなり厳しく解釈されています。
例えば、高級外車を通勤用車両として弁済協定することを希望する場合、一般的には事業に不可欠とは言い難いため、弁済協定が認められないと思われます。
また、事業継続に必要な資産でも、リース債務の支払いによって事業計画を圧迫すれば本末転倒です。そのため、代替手段も検討する必要があります。
リース債務を支払い続けるよりも、同等品又はそれ以下の中古品を再調達したほうが安くつくことが多く、車両、店舗用備品ではリースを続ける例が少ないです。
さらに、パソコンやホームページ関連については、当事務所に限って言えばリース継続を希望した相談者自体、お会いしたことはありません。
このように、弁済協定による共益債権化という手法は、実際の再生手続きではであまり利用されていないのではないかと思われます。
以上