弁護士の吉田です。今回も前回に引き続き再生申立と家族、お金にまつわる問題についてご説明します。
第5回は、『手続き中、夫や妻の債務を払えるのか』という難しい問題です。
例えば、夫が再生申立の準備のために借入の返済を止めた場合、夫は、妻が妻名義で借りたお金を返してはいけません。
また、積立式の保険などを家族のために支払っているときは、一種の贈与とみなされて支払いを中止する場合もあります。
他方、食費、光熱費などの生活費は妻、子の分も含めて支払うことができます。法律上、生活費は、夫婦が助け合う義務(生活保持義務)を果たすために必要と考えることができるからです。
どこまでが生活費の分担で、どこからが贈与になるのかは線引きが難しい問題であり、裁判所の担当者によっても考えが分かれるところです。
実際に再生を申し立てる際には、申立準備の段階で、このような夫婦間の支払分担の状況を確認しておく必要があります。
そのうえで、支払中止するもの、妻の収入口座から払ってもらうものなど整理をして、できるだけ裁判所から指摘を受けて再生に支障が出ないようにするべきです。