手続き全般について

単身赴任、社員寮、個人事務所…管轄はどこに?

個人再生をどこの裁判所で申し立てるのか、自由に選ぶことはできません。

どの裁判所が取り扱うのかは、民事再生法で定められており、基本的には申立人の住所を管轄する裁判所に申し立てる必要があります。

 

ここでいう「住所」とは、通常、住民票に記載してある住所です。個人事業主で営業所が別にある場合、営業所の所在地が管轄地となります。

 

一方、事情があって住民票を動かさず別のところに住んでいる方もいます。(例えば単身赴任、DV被害者など)

そのような場合、実際の住みかを「居所」として、その管轄の裁判所に申し立てることもあります。(参照コラム【個人再生の仕組み1(申立裁判所の選択)】)

 

では、どこでも「居所」としてよいのでしょうか。

裁判所は、居所として認められる要件は何も提示していませんので、申立をする側が居住実態を示す必要があります。

 

ホテル暮らしの場合は?

数週間~1カ月程度ホテルで暮らしている場合、またウイークリーマンションで暮らしている場合では、「居所」として説明するのはかなり難しいでしょう。

 

なお、住民票を置く場合や、所得税法などの「居住者」の定義では、いずれも「1年以上居住しているか(居住することが予想されるか)」という目安があります。

再生手続の場合、1年など明確な規定はありませんが、同程度の居住実態があれば居所として認めてもらえる余地はあるでしょう。

 

住民票さえ動かせばよい?

当事務所の債務相談で、「大阪の友人宅や実家に住民票を動かせば、東京で仕事していても申立できるか」との質問を受けることもあります。

たしかに、住民票で住所を示すことは非常に簡明で説明しやすいです。

しかし、居住実態がない場合、いくら住民票を移していても、住所としては認められません。

たとえば、大阪の実家に住民票があるとしても、移動させたのがつい最近であり、家計収支表の根拠資料にも実家で暮らしていることを示すものが何もない場合、管轄を否定されるでしょう。

 

居住実態を示す資料

では、居住実態を示すには、どういった資料を準備すればよいでしょうか。

 

住民票を移さず長期間居住している場合、契約日や契約期間がわかる賃貸借契約書が準備できれば有力な証拠になります。

 

社宅、社員寮などに住んでおり、賃貸借契約上、ご本人の名前が出てこない場合には、会社との契約書や社内規定(規則)を示す方法や、社宅等に関する支払資料、給与明細を提出することが考えられます。

また、家主や管理会社などに、「この人はこの住所にある物件に居住しています」と一筆書いてもらう(居住証明書)を用意することも有益です。

 

これら以外にも、その住所(居所)に宛てて電力会社、通信会社などから届く郵便物があり、それが一定期間にわたって継続していることが分かる請求書類も、居住実態を示す有力な証拠になるでしょう。

 

 

まとめ

再生申立は、基本的には住民票の住所、例外的に居住実態のある居所を管轄する裁判所に申し立てる必要があることをご説明しました。

 

居住実態の判断や証明は判断しづらいことも多いので、出来る限り債務整理を依頼する前に、管轄のことは弁護士に相談しておきましょう。

 

監修者情報

弁護士

吉田浩司(よしだこうじ)

専門分野:債務整理事件(任意整理・個人再生・自己破産など)

2004年(旧)司法試験合格 2006年弁護士登録、2010年8月にTMG法律事務所開業。任意整理、個人再生、自己破産等の債務整理事件に数多く取り組んでいる。特に個人再生の取扱が多い。