個人再生の【不動産査定書】よくあるQ&A
個人再生の不動産査定・評価に関するQ&Aまとめ
前回は、不動産査定書を個人再生手続で提出する際の注意点をご説明しました。
今回の記事では、Q&A方式で、誤解されやすい点を12個挙げます。
なお、以下のQ&Aは、当事務所のこれまでの経験に基づいてお示しするものです。
申立ての時期や地域により、異なる判断が示される場合があることをあらかじめご了承ください。
目次
Q1 不動産を売る予定がなくても、査定書は必要ですか。
Q2 業者買取価格で査定されましたが、そのまま使えますか。
Q3 大阪で必要とされる査定書の要件は何ですか。
Q4 固定資産評価証明書では代用できませんか。
Q5 太陽光発電などの設備は査定に影響しますか。
Q6 査定額が問題になると、どのような対応が取られますか。
Q7 査定書はどこに依頼すればよいですか。
Q8 インターネットの一括査定サービスは使えますか。
Q9 極端に低い査定額を出してもらえば有利になりますか。
Q10 査定書に添付しておいた方がよい資料はありますか。
Q11 古い査定書でも使えますか。
Q12 査定額に納得できない場合、どうすればよいですか。
Q1 不動産を売る予定がなくても、査定書は必要ですか。
A 必要です。
個人再生では、実際に売却するかどうかにかかわらず、清算価値を判断するため、原則として査定書の提出が求められます。
Q2 業者買取価格で査定されましたが、そのまま使えますか。
A 原則として使えません。
業者買取価格は相場の70〜90%程度にとどまることが多いためです。裁判所では、通常の市場価格を前提とした査定が求められます。
Q3 大阪で必要とされる査定書の要件は何ですか。
A 物件の特定、作成者、作成日、算定根拠を示すことが必要です。
特に、算定根拠については、公示価格や周辺の取引事例など、客観的な根拠が具体的に記載されていることが重要です。
Q4 固定資産評価証明書では代用できませんか。
A できないことがほとんどです。
多くの裁判所では、査定書の提出が求められます。
Q5 太陽光発電などの設備は査定に影響しますか。
A 影響することが多い傾向にあります。
省エネ設備はプラス評価となるため、査定書に記載してもらうべきです。記載がないと、後日、追加査定を求められることがあります。
Q6 査定額が問題になると、どのような対応が取られますか。
A 再提出や再生委員の選任が行われることがあります。
算定根拠が不十分な場合や、不自然な査定額と判断されると、査定書の再提出や個人再生委員による検証が行われることがあります。
Q7 査定書はどこに依頼すればよいですか。
A 不動産仲介業者に依頼するのが一般的です。
地域の取引事例に詳しく、査定根拠を文書で示せる業者を選ぶことが重要です。
Q8 インターネットの一括査定サービスは使えますか。
A そのままでは使えないことが多いです。
算定根拠のない簡易的な価格提示しかなく、裁判所提出用の査定書としては要件を満たさないためです。
Q9 極端に低い査定額を出してもらえば有利になりますか。
A いいえ。
不自然に低い査定は疑義を持たれやすく、再提出や再生委員選任の原因になることがあるため、極端な査定は避けた方が無難です。
Q10 査定書に添付しておいた方がよい資料はありますか。
A 近隣の取引事例があれば必ず添付しましょう。
また、間取り図、リフォーム履歴や損傷個所の写真などがあると、査定の信頼性が高まります。
なお、査定業者は、固定資産評価証明書、全部事項証明書(登記情報)を確認していることが前提となります。
Q11 古い査定書でも使えますか。
A 1〜2か月程度であれば問題ありません。
ただし、半年以上前のものについては、比較事例の価格が変動していることを理由に、再提出を命じられた例があります。
Q12 査定額に納得できない場合、どうすればよいですか。
A 別の業者に再査定を依頼するのが一般的です。
特に京都や東京など、複数通の査定書が必要な地域では、比較検討することが実務上も想定されています。
監修者情報
弁護士
吉田浩司(よしだこうじ)
専門分野:債務整理事件(任意整理・個人再生・自己破産など)
2004年(旧)司法試験合格 2006年弁護士登録、2010年8月にTMG法律事務所開業。任意整理、個人再生、自己破産等の債務整理事件に数多く取り組んでいる。特に個人再生の取扱が多い。