債務について

債務整理中でも賃貸住宅は借りられる?保証会社審査の仕組みと注意点

近年の賃貸住宅では、入居時に「保証会社の利用が必須」とされるケースが一般的になっています。そのため、自己破産や個人再生などの債務整理を検討している方から、「引越しをする際、保証会社の審査に通るのか」という相談を受けることがよくあります。

結論から言うと、債務整理を予定している場合でも、賃貸物件を借りること自体は可能です。ただし、保証会社の審査は「どの保証会社が審査を行うか」によって大きく結果が変わります。

保証会社の審査は、大きく次の二つのタイプに分かれます。

  • クレジット・ローンの信用情報を利用するタイプ
  • 家賃滞納など賃貸履歴を利用するタイプ

この違いを理解しておくと、入居審査の見通しが立てやすくなります。また、保証会社の審査に通らない場合でも、いくつかの対策が考えられます。以下では、保証会社の審査の仕組みと、審査に通らない場合の対応方法について順に説明します。

目次

1 信用情報機関(CIC・JICCなど)を利用する保証会社

(1)信用情報機関とは

CICやJICCは、クレジットカード、カードローン、携帯電話端末の分割払いなどの利用状況を管理している信用情報機関です。
このほか、全国銀行協会が運営するKSCという機関もあり、これら3団体は相互に信用情報を共有しています。

これらの機関には、延滞、債務整理、契約状況などの情報が登録されます。
クレジットカードやカードローン、携帯電話端末の分割払いを滞納していた場合、信用情報機関に延滞情報が登録されている可能性があります。

自己破産や個人再生を申し立てる場合、通常は弁護士等が介入した段階で支払いを一旦停止します。
そのため、この時点から延滞情報が信用情報機関に登録されることになります。

CICとJICCは自己破産や個人再生の申立てに関する官報情報を直接取得していません(全国銀行協会(KSC)は取得しています)。

そのため、CICやJICCに破産等の情報が登録されるのは、破産等によって回収が不能となった加盟会員(信販会社や貸金業者)から情報提供があった場合に限られます。

たとえば、個人再生の場合、再生計画に基づいて3〜5年の間返済を行い完済すると、「完済」の情報がCIC・JICCに登録されます。
そして、その登録から5年が経過すると契約情報は抹消されます。

また、自己破産の場合は、免責決定後に加盟会員から情報提供がなされることで、支払義務がなくなったことが登録されます。

ここで注意が必要なのは、破産手続を担当した弁護士・司法書士が免責決定を債権者(加盟会員)に伝えていない場合があることです。
この場合、信用情報上は契約(債務)が残ったままの状態になる可能性があります。

(2)債務整理中の入居審査

前述のとおり、債務整理(任意整理、自己破産、個人再生)の手続中は、延滞状態や契約の組み直しが続いている状況になります。
この情報は加盟会員を通じて信用情報機関に共有されます。

そのため、債務整理の手続中、あるいは終了後5年以内の場合には、信用情報を参照する保証会社を利用する賃貸物件では審査が通らない可能性が高くなります。

(3)債務整理後の入居審査

債務整理から数年経過し、「もう大丈夫だろう」と思って入居審査を受けたものの、審査に落ちてしまったというケースも少なくありません。

ただし、審査に落ちた場合でも、「なぜ落ちたのか」という具体的な理由については、仲介業者や保証会社から説明されないのが通常です。

入居審査では、信用情報だけでなく、職業、収入、家族構成など様々な要素を総合的に考慮して判断されます。
そのため、必ずしも信用情報が原因とは限らないためです。

もっとも、過去に債務整理を行った方が入居審査を受ける場合、信用情報の影響が気になることも多いでしょう。
そのような場合には、CICやJICCなどでご自身の信用情報の本人開示を行い、どのような情報が登録されているのかを確認することをおすすめします。

2 家賃保証会社のデータベース(LICC等)を利用する保証会社

(1)保証会社間のデータベース

賃貸保証会社の一部は、家賃滞納などの履歴を共有する仕組みを利用しています。

代表的なものとして、全国賃貸保証業協会(LICC)が運用している家賃保証データベースがあります。
このデータベースには、賃料を滞納し、保証会社が代位弁済した家賃の情報などが登録されています。

登録期間は、原則として保証委託契約終了後5年程度とされています。

(2)運用の終了予定

このLICCデータベースは、2026年3月31日をもって運用終了が予定されています。

これまでの審査では、ローンやクレジットカードの滞納歴があっても、家賃の滞納歴がない入居希望者であれば、LICCの審査は通る可能性がありました。

しかし、2026年4月以降は、このデータベースによる審査が行われなくなるため、審査の運用が変わる可能性があります。

今後は、各保証会社が独自の審査を強化するのか、あるいはCIC・JICCに加盟する保証会社が増えるのか、まだ状況は不確定です。

なお、記事の後半では、代表的な賃貸保証会社がどのタイプの審査を行うのかを一覧表にまとめています。

3 審査に通らない場合の対策

(1)保証会社を利用しない物件を選ぶ

債務整理中、返済中又は完済後しばらくの間は、保証会社を利用しない物件を選ぶ必要があります。

たとえば、UR賃貸住宅では、保証人や保証会社が不要とされています。
ただし、物件の種類や所在地が限られるほか、一定額の敷金が必要になります。

また、市営住宅などの公営住宅でも、保証会社が不要なケースがあります。

(2)家族名義で契約する

家族に契約者になってもらう方法も考えられます。

たとえば、共働きの夫婦であれば配偶者名義で契約する、成人した子どもと同居する場合には子ども名義で契約する、といった方法です。

実務上、このような方法が利用されるケースは少なくありません。

ただし、契約者となる人には一定の収入が必要です。
一般的には、入居を希望する物件の家賃の3倍程度の手取り収入があると、審査に通りやすいとされています。

(3)信用情報の本人開示を行う

前述のとおり、債務整理を行った場合、免責または完済からおおむね5年程度は信用情報が登録されています

しかし、この期間を過ぎても審査に落ち続ける場合、完済後の情報が適切に削除されていない可能性も考えられます。

そのため、まずはCICなどで本人による信用情報の開示請求を行い、ご自身の信用情報がどのような状態になっているのかを確認しておくことが重要です。

4 主な賃貸保証会社

国内には多数の保証会社がありますが、賃貸住宅でよく利用される会社としては次のようなものがあります(2026年3月現在)。
これまでは、CIC・JICCには加入していない大手保証会社もあったので、債務整理中あるいは返済後の入居審査が通る可能性もありました。

しかし、2026年4月以降はLICCのデータベースの運用は終了するため、今後の扱いには注意が必要です。

会社名 CIC JICC 業界DB 備考
全保連 × LICC 2022年JICC加盟
日本セーフティー × × LICC 独立系最大手
Casa × × LICC 東証スタンダード上場
ジェイリース × LICC 東証プライム
日本賃貸保証(JID) × × LICC 老舗保証会社
フォーシーズ × × LICC 外国人賃貸保証でも有名
オリコフォレントインシュア LICC 信販系
エポスカード(ROOM iD) LICC 丸井グループ
ジャックス LICC 信販系保証
アプラス LICC 新生銀行系
セディナ(SMBCファイナンス) LICC SMBC系
あんしん保証 × × LICC 沖縄系
イントラスト × LICC 保証+医療保証
ナップ賃貸保証 × × LICC 中堅保証会社
エルズサポート × LICC オリックス系
アルファー × × LICC 九州中心
CAPCO AGENCY × × CGO 外国人保証
グローバルトラストネットワークス × × CGO 外国人保証
オーロラ × × LICC 地方系
アーク賃貸保証 × × LICC 中小保証会社

 

5 まとめ

債務整理を予定している場合でも、賃貸住宅を借りること自体は可能です。
ただし、保証会社の審査方法によって結果が大きく異なります。
信用情報機関を参照する保証会社では審査が厳しくなる傾向がありますが、家賃滞納履歴を中心に審査する保証会社では通る可能性もあります。

また、保証会社を利用しない物件を選ぶ、家族名義で契約するなどの方法も検討できます。
入居審査に不安がある場合には、まずご自身の信用情報を確認しておくことが重要です。

監修者情報

弁護士

吉田浩司(よしだこうじ)

専門分野:債務整理事件(任意整理・個人再生・自己破産など)

2004年(旧)司法試験合格 2006年弁護士登録、2010年8月にTMG法律事務所開業。任意整理、個人再生、自己破産等の債務整理事件に数多く取り組んでいる。特に個人再生の取扱が多い。