手続き全般について

再生認可後の違い―給与所得者等再生その7

裁判所での手続きが終わっても制限がある?

全7回に分けて、個人再生ではあまり利用されない「給与所得者等再生手続き」の特色について説明します。

最終回の第7回は「再生認可後の違い」についてご説明します。

小規模個人再生手続きは、債権者の不同意が過半数を超えないことが要件になっています。この過半数とは債権者の頭数及び債権額のいずれも過半数を超えないことが必要です。

このように説明すると要件が厳しいように感じられますが、実際に不同意の意見を出す債権者が非常に少ないのが実情です。

小規模個人再生手続きを認可されて再生計画により支払い終わった後、もし別の原因で再び返済に苦しむようになった場合、再生手続きや破産手続きを利用する場合には法律上の制限はありません。

しかし、給与所得者等再生を利用して認可をされて同様に支払い終わった場合、7年間は再度の給与所得者再生、あるいは破産手続きの免責が制限されてしまいます(この点は非常に複雑ですので、万一該当する可能性がある方はご相談ください。)。

給与所得者等再生は、債権者の意見を聞かないで免除してしまう手続きであるため、そう何回も使えないように設計されているのです。

こういった面からも、給与所得者等再生はやむを得ない場合に限って利用したほうが良く、第一選択としては小規模個人再生を検討するべきといえます。

 

給与所得者等再生の実情―給与所得者等再生その1
給与所得者以外の利用者―給与所得者等再生その2
給与所得者等再生を利用するとき―給与所得者等再生その3
不同意意見を述べる債権者―給与所得者等再生その4
不同意の理由―給与所得者等再生その5
不同意で棄却された後は―給与所得者等再生その6
再生認可後の違い―給与所得者等再生その7

監修者情報

弁護士

吉田浩司(よしだこうじ)

専門分野:債務整理事件(任意整理・個人再生・自己破産など)

2004年(旧)司法試験合格 2006年弁護士登録、2010年8月にTMG法律事務所開業。任意整理、個人再生、自己破産等の債務整理事件に数多く取り組んでいる。特に個人再生の取扱が多い。