債務について

再生すると子どもに迷惑がかかる?―奨学金と個人再生1

債務整理(個人再生含む)のご相談では、個人再生をすると、子どもが奨学金を借りるときに親が連帯保証人になれないなど不利益があるのでは、と心配される方がいらっしゃいます。

また、すでに奨学金の連帯保証人になっている方は、ご自身が個人再生手続をしたら保証がどうなるのか気になるでしょう。

今回は、個人再生手続が奨学金と保証人に及ぼす影響について、もっとも利用者の多い、日本学生支援機構の貸与型奨学金を例にご説明いたします。

 

※育英会など別の団体が実施する奨学金事業の場合には、以下の場合と結果が異なることがありますので、ご注意ください。

 

連帯保証人の要件

日本学生支援機構では、連帯保証人について、下記6つの要件にすべて該当する人から選ぶ必要があります。

 

(1)奨学生本人が未成年者の場合、その親権者(親権者がいない場合は未成年後見人)であること。

(2)奨学生本人が成年者の場合は、その父母。父母がいない等の場合は、奨学生本人の兄弟姉妹・おじ・おば等の4親等以内の親族であること。

(3)未成年者および学生でないこと。

(4)奨学生本人の配偶者(婚約者を含む)でないこと。

(5)債務整理中(破産等)でないこと。

(6)貸与終了時(貸与終了月の末日時点)に奨学生本人が満45歳を超える場合、その時点で60歳未満であること。

 

※(2)に「父母」とありますが、いずれか1人を選任します。

※(5)には「債務整理中でないこと」と明記されています。個人再生手続中や再生計画による弁済中の方は連帯保証人にはなれません(任意整理の場合には、交渉・返済途中は債務整理中、破産手続の場合は免責がまだ確定していない間は債務整理中と判断されます。)。

 

近い将来子どもが奨学金を借りる可能性がある方

数年後に大学などの進学を控えるお子様がいらっしゃる方は、個人再生の手続きを取ったあと、奨学金が利用できるか心配されることがあります。

連帯保証人は父母のいずれかですので、例えば父が個人再生手続を行った場合、母を連帯保証人として選任することができます。

また、個人再生手続を行った方でも、認可され、再生計画通りに返済が終了していれば、連帯保証人になることができます。

(※任意整理の場合は合意後の返済完了、破産の場合は免責が確定すれば可能です。)

 

なお、保証については、(連帯)保証人以外に、機関保証(公益財団法人日本国際教育支援協会という団体に連帯保証してもらうこと)を選択することもできます。

機関保証には、一定の保証料の支払いが必要です。毎月の奨学金から保証料月額を差し引いた残額が奨学生の口座に振り込まれます。

金銭的負担はありますが、父母や親族が連帯保証人になれない場合は、機関保証を選択するとよいでしょう。

 

 

現在、貸与奨学金の連帯保証人になっている方

すでに連帯保証人として選任されていて、これから個人再生の手続きをされる方は、まず、連帯保証人の変更が必要になります。

在学中の場合は、学校の窓口担当者に連絡して必要書類を提出します。卒業後は、日本学生支援機構に直接変更届を送ります。

 

保証人を変更する前に弁護士に委任された場合は、弁護士から日本学生支援機構へ受任通知を発送します。その後、日本学生支援機構から保証人変更の書類が到着するので、ご依頼者様にお渡しして手続きをしていただきます。

 

ご依頼者様は、連帯保証人が変更された時点で、日本学生支援機構との債権債務関係はなくなります。その後の返済義務は奨学生本人(お子様)と新たな連帯保証人が負うことになります。

 

新たに連帯保証人となる方の要件として、父母以外なら4親等以内の親族であることが必要です。親族に事情を説明して協力を得られるのかご検討ください。

どうしても協力を得られない場合、交代する連帯保証人として機関保証を指定することも可能です。

 

ただし、人的保証から機関保証への変更は、保証料の一括振込が必要になります(借り入れ総額や借り入れ期間によって金額は変わります)。弁護士と協議の上で決めたほうがよいでしょう。

 

(※以上の内容は、日本学生支援機構のウェブサイト及び直接の問い合わせにより当事務所が確認したものです。)

 

次回は、奨学生本人が個人再生手続をする場合について解説します。

監修者情報

弁護士

吉田浩司(よしだこうじ)

専門分野:債務整理事件(任意整理・個人再生・自己破産など)

2004年(旧)司法試験合格 2006年弁護士登録、2010年8月にTMG法律事務所開業。任意整理、個人再生、自己破産等の債務整理事件に数多く取り組んでいる。特に個人再生の取扱が多い。