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株式の評価はどうなる―(元)会社役員、代表者の注意点4

再生手続には評価額の算出が必要

全5回にわたり、元会社役員、代表者の個人再生について注意点をお伝えしています。

4回目の今回は、(3)手持ち資産の評価が難しい株式の資産評価について説明します。

会社経営者はほぼ当然ですが、会社を離れた会社役員でも、会社の株を所有していることがあります。株を持っていることが分かった場合、資産とみなされることがありますので、会社役員の再生の場合には、必ず会社の株をお持ちであるか、聞き取りをします。

しかし、小規模な株式会社の場合、自分が株主かどうかを外部から知る方法はなかなかありません。また、株主名簿のような形でしっかりと株主や持ち株数を管理している会社もあまり多くありません。

そのため、株式や株主の情報を確認するために、その会社の決算申告書類を入手する必要があります。

小規模な株式会社の株式は、上場会社のように自由な売買はできません。それでも、株式の資産価値を評価する方法があります。

会社の純資産額を、発行済みの株式数で割ると「一株当たりの価額」が分かります。一株当たりの価額を単価として、手持ちの株数を乗じた金額を資産として計上します。

純資産額は、決算申告書類の一部である「貸借対照表」を確認することで判明します。

例)純資産1000万円、発行済み株式100株、手持ち10株の場合

(1000万円÷100株)×10株=100万円

なお、事実上廃業した会社や、経営悪化により会社を離れた元役員の多くは、会社の株の価値などあるわけがないとお考えのことと思います。

しかし、無価値かどうかは、裁判所含めて外部の人間には判断できません。株を所有していることが確実であるにもかかわらず、その資産価値を説明できない場合や、資料が全くない場合には、裁判所によって資産調査を指示され、個人再生委員を選任される可能性もあります。

会社役員の再生申立には、色々と判断が難しい点があります。その意味で、事業者の再生申立経験が豊富な弁護士に相談することが重要だと思います。

 

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監修者情報

弁護士

吉田浩司(よしだこうじ)

専門分野:債務整理事件(任意整理・個人再生・自己破産など)

2004年(旧)司法試験合格 2006年弁護士登録、2010年8月にTMG法律事務所開業。任意整理、個人再生、自己破産等の債務整理事件に数多く取り組んでいる。特に個人再生の取扱が多い。