手続き全般について

再生委員の選任基準―和歌山の基準5

和歌山では個別の事情による

12回にわたり、個人再生における大阪と和歌山の違いを説明します。

 

今回は、個人再生委員の選任に関する和歌山地裁の基準を説明します。

 

個人再生委員とは、申立人の財産、収入を調査したり、届け出のあった債権額を評価したりするために、裁判所から選任される別の弁護士のことです。

 

【大阪の場合】

申立時の財産状況が不明瞭で裁判所が補正を求めても説明しないとか、浪費が激しかったり、法的整理を繰り返している方の場合、個人再生委員を選任し、再生委員との面談が実施される案件もあります(おおむね全件の3%程度とのこと)。

特に、住宅ローンと保証債務を除く債務額が3000万円を超える案件の場合には、原則として個人再生委員を選任することが周知されています。

実際、当事務所でも、比較的高額な債務額のある事業者のケース、未分割の相続財産があるケースや、再生申立が2度目の方などで、個人再生委員が選任されたことが複数件があります。

 

個人再生委員が選任された場合、裁判所に納めるお金(予納金)として、別途30万円以上必要になります。

 

なお、申立人が届け出た債権額と、債権者が届け出る債権額に違いがある場合、裁判所に債権額の評価査定を求める制度があります。

このとき、債権査定に限られた個人再生委員が選任されます。大阪の場合、予納金は5万円です。

 

【和歌山の場合】

和歌山地裁では、個人再生委員の選任について大阪のような3000万円の形式的基準はありません。

また、本人申立事件の場合、予納金は30万円ですが、弁護士あるいは司法書士申立事件の場合、予納金は20万円と少し安いのが特徴です。

なお再生債権の評価のみの場合は4万円です。

 

※ このコラムは、記事作成時点での法令、各地の裁判所の運用に基づいています。実際に再生申立てを行う方は、担当弁護士や裁判所に確認したうえでご判断ください。

 

返済可能性シートとは―和歌山の基準1
返済可能性シートの使い方―和歌山の基準2
返済可能性シートの収入欄―和歌山の基準3
審尋の実施はある?―和歌山の基準4
再生委員の選任基準―和歌山の基準5
返済積立金の財産評価―和歌山の基準6
自由財産となる範囲―和歌山の基準7
財産の必要資料―和歌山の基準8
退職金の扱い―和歌山の基準9
保証人がいる場合―和歌山の基準10
資料の保管期間―和歌山の基準11
手続に要する期間―和歌山の基準12

監修者情報

弁護士

吉田浩司(よしだこうじ)

専門分野:債務整理事件(任意整理・個人再生・自己破産など)

2004年(旧)司法試験合格 2006年弁護士登録、2010年8月にTMG法律事務所開業。任意整理、個人再生、自己破産等の債務整理事件に数多く取り組んでいる。特に個人再生の取扱が多い。